債務整理

会社に借金がバレて信用低下!?給料差し押さえの実態と対策

会社に借金がバレて信用低下!?給料差し押さえの実態と対策

借金を滞納し続けると、貸金業者は裁判所に申立をして、債務者の給料を差し押さえて債権を回収することができます。

差し押さえは裁判所を介した強制力のある手続きなので、法的にも認められており、命令が出たあとは避けることができません。

給料差し押さえになると、私たちの生活や仕事にどんな影響がでるのでしょうか? また、差し押さえを回避する方法はあるのでしょうか?

ここでは、給料差し押さえの実態と、差し押さえの解決方法を解説します。

1.給料差し押さえとは

差し押さえは強制執行の一種で、滞納した借金などを、裁判所を通して強制的に回収する手段です。差し押さえの対象となるのは、給与、不動産、預貯金、動産などです。

財産差し押さえは裁判所を介さずに行うことはできず、実行するにあたり、債権者は事前に裁判所に申立てをし、差押命令を得なければなりません。

財産の中でも、給与は換価する必要がないので、差し押さえも容易であり、手堅くお金を手に入れることができるので、債権者にとって非常に便利な債権なのです。

(1) 給料差し押さえの金額の上限

給料差し押さえになった場合、全額を没収される訳ではありません。給料全額をもっていかれたら生活ができなくなるので、民事執行法152条により、社会保険料や税金等を控除した後の給与の3/4は差し押さえが禁止されています。

給与の差し押さえの上限には以下の2つが定められています。

  • 税金等を控除した後の手取りの給与額が月額44万円を超えない場合:手取り額の1/4まで
  • 税金等を控除した後の手取りの給与額が月額44万円を超える場合:手取り額から33万円を控除した金額まで

もっとも、差し押さえを受けることで生活ができなくなる場合は、裁判所に申立をすることで、差押禁止債権の範囲の変更をしてもらうこともできます。

申立が認められた場合は、給料差し押さえの一部は取り消してもらえるので、差し押さえ金額が下がり、その分を生活費に充てることができます。

(2) 給料差し押さえで生じる日常生活への影響

①手取り額が減る

給料差し押さえをされると、当然手取り額は減るので生活は苦しくなります。

差し押さえの事実が家族に通知されることはありませんが、手取り額が減るので、そのことから家族にも借金がバレてしまう可能性は高いでしょう。

②会社にバレる

給料差し押さえになると職場に差し押さえの通知がいくため、会社には確実に借金がバレます。

手続き上も給与の中から差し押さえ分を計算して債権者の口座に振り込まなければならないので、毎月余計な手間をかけさせることになります。

給料差し押さえになるということは、少なくとも何らかの滞納があったことは容易に想像がつくので、職場での信頼を損なうことにはなるでしょう。

差し押さえを理由に勤務先が従業員を解雇することはできませんが、会社にバレる以上、差し押さえによって多少なりとも職場に居づらくなることは覚悟しなければなりません。

2.給料差し押さえの流れ

次に、給与差し押さえの流れを見ていきましょう。

(1) 債務不履行が発生

給料差し押さえは、債務不履行が前提となります。借金を滞納すると業者から督促状が届きますが、それを無視していると、法的に債権を回収するために裁判所に支払督促を申し立てられたり、訴訟を起こされたりします。

(2) 支払督促の申立や訴訟の提起

借金回収のための法的手段としては「支払督促」「少額訴訟」「通常訴訟」の3つがあり、いずれも最終的に差し押さえをすることを目的としていますが、手続きがスピーディーな支払督促が選択されるケースが大半です。

少額訴訟、通常訴訟では債権者と債務者の双方の意見を聴取しなければなりませんが、支払督促の場合は債権者が訴えるだけで支払命令を出してもらえるので、債権者側にとっては非常に便利です。

債権者が裁判所に支払督促の申立を行うと、裁判所から債務者に「支払督促」が特別送達で送られます。

送付された支払督促には督促異議申立書が同封されているので、債務者に異議がある場合には送達日から2週間以内に異議申立を行います。

債務者が異議申立をすると、通常の民事訴訟の手続に移行することになります。

異議申立がない場合や支払督促を無視した場合は、債権者が仮執行宣言の申立の手続きに入ります。

(3) 仮執行宣言

債権者による申立が認められると、「仮執行宣言付支払督促」が裁判所によって発付され、債権者は強制執行の申立てができるようになります。

(4) 強制執行

強制執行として給与差し押さえをする場合、債権者が裁判所に債権差押えの申立をすると、勤務先と債務者に「債権差押命令」が送付されます。債権差押命令が届いたら、勤務先は差し押さえ分については給与として従業員に支払うことができなくなります。

ちなみに税金等の滞納については、裁判所を介さずに直接差し押さえをすることが可能です。差押予告書が届いたら、執行官によっていつ強制執行が行われてもおかしくはありません。

3.給与差し押さえの回避方法

給料差し押さえはある日突然やってきますが、少なくとも前兆はあります。

差し押さえの前には、債権者からの催告書や督促状は何度も届いているはずで、これを無視すると差し押さえに発展します。また、返済を求めた裁判で負けている場合で、支払いをしていない場合は差し押さえの一歩手前です。

給与差し押さえをされると生活に困るだけでなく、職場での信頼も損ねることになり、日常生活に与える影響は甚大です。

では、給与差し押さえを回避する方法はあるのでしょうか?

(1) 借金滞納による差し押さえを回避する方法

借金滞納で給料差し押さえになりそうな場合は、債務整理で回避するのがベストです。

債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。それぞれの制度について解説します。

①任意整理

任意整理は借金を減額する制度で、将来利息をカットする形で借金の減額を行います。裁判所を介して行う手続きではないので、既に差し押さえが決定している場合は回避することはできないので注意が必要です。
任意整理で給与差し押さえを回避するには、まだ差し押さえが決定しておらず、任意整理をすれば支払いができるようになるという目途が立つときに有効です。

②個人再生

個人再生は借金を大幅に減額できる制度で、負債をおよそ1/5程度まで圧縮することが可能です(どれくらい減額できるかは事案によって異なります。)。
個人再生では債権者平等の原則があるので、特定の債権者だけ早い者勝ちで差し押さえをすることはできません。よって、個人再生の申立をすることで、債権者による給与差し押さえを回避することができます(すでに給与差し押さえがされている場合、中止できます。)。

③自己破産

自己破産は借金を全額免責してもらえる制度です。その代わりに財産は基本的に没収され、債権者に配当されます。

給与の差し押さえについては、自己破産開始決定後はできなくなります(すでに給与差し押さえがされている場合、同時廃止の場合は中止、管財事件の場合は失効。)。

ただし、同時廃止事件か管財事件かで扱いが変わり、同時廃止事件の場合は、給与を全額受け取れるようになるのは免責確定後となります。

(2)税金滞納による差し押さえを回避する方法

税金等の公租公課は非免責債権であり、通常の借金のように債務整理で減免してもらうことはできません。支払えない場合には差し押さえを受けることになります。

差し押さえに発展するのは度重なる督促を無視した場合で、その際には財産調査が入り勤務先や銀行口座などが調べられます。

差し押さえ前には差し押さえ予告書が送られ、強制執行のあかつきには給与の支給前に差し押さえ分が引かれて自治体に振り込まれます。

しかし、税金等についても救済措置がない訳ではありません。
窓口に相談をすることで猶予、分納の措置をとってもらえる場合や、納税の猶予の措置を得たり、換価の猶予によって延滞金は半額免除されることもあります。

4.給料差し押さえの前に債務整理を

借金や税金を滞納し続けたまま督促を無視していると、給与差し押さえになりかねませんので注意が必要です。

給与は差し押さえが簡単なので財産の中でも狙われやすいです。差し押さえを受けると収入が減るだけでなく、職場にもバレてしまうので、信用低下は免れません。

そうなる前に、税金、保険料等は税務署、市役所の窓口に相談に行き、借金については債務整理で差し押さえを回避することをおすすめします。

泉総合法律事務所は、債務整理の事例が豊富にございます。借金問題についてご相談頂ければ、きっとお力添えできることがあります。相談は何度でも無料ですので、お困りのことがあればお気軽にご相談ください。

もちろん、すでに給与を差し押さえられてしまい、一刻も早く差し押さえを解除したいという方からのご相談も承っております。
どなた様も、借金問題はどうぞお早めにご相談いただければと思います。

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