債務整理

自己破産の手続中は旅行や引っ越しができない?

自己破産の手続中は旅行や引っ越しができない?

自己破産をご検討されているご相談者様から、「自己破産をすると海外旅行に行けないんですか?」、「自己破産手続中は引っ越しが制限されるってほんとですか?」といったご質問をいただくことがあります。

たしかに自己破産手続中は、様々な制限や禁止事項がありますので、事前にきちんと確認しておく必要があります。

そこで今回は、自己破産手続中の制限や禁止事項について解説します。

1.自己破産手続中の制限

自己破産の手続においては、破産者はいくつかの自由を制限されます。

具体的にどのようなことが制限されるのか、以下でみていきましょう。

(1) 資格制限

自己破産を申し立て、破産手続開始決定が出されると、一定の資格を取得できなくなったり、一定の職業に就けなくなったりします。これを「資格制限」と言います。

資格制限については、破産法自体に定めはなく、各種の職業に関する法律などの中で、個別に破産者が行えない業務の規定があったり、破産者でないことがその職種に就く条件として規定されていたりします。

資格制限の例としては、以下のようなものがあります。

なお、以下に記載されているものはあくまで代表的なもので、他にも制限を受ける職業は多数ありますのでご注意ください。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 不動産鑑定士
  • 宅地建物取引士
  • 警備員
  • 証券外務員
  • 生命保険募集人
  • 損害保険代理店
  • 旅行業務取扱管理者
  • 貸金業者
  • 質屋

弁護士や税理士など、いわゆる「士業」と呼ばれる職業で資格制限が多いことが分かります。
また、上記のような職種についての資格制限の他に、民法上、「代理人」、「後見人」、「後見監督人」、「保佐人」、「補助人」、「遺言執行者」については、破産者であることが欠格事由とされています。

欠格とは、要求されている資格を欠くことで、つまり、破産者はこれらの者になれないということです。

なお、資格制限は一生続くものではありません。資格が制限されるのは、あくまで破産者が「復権」するまでの間です。
復権」とは、法的に破産者から一般人の状態に戻ることで、免責許可決定が確定することにより、自動的に復権します。

(2) 居住場所の制限

破産法37条1項は、「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」と定めています。つまり、自己破産をすると、一定の期間、居住場所につき制限を受けることになります。

具体的には、破産手続開始決定時に裁判所に申告した住所から引っ越しをしたり、長期旅行に出かけたりすることが自由にできなくなります。

引っ越しや長期旅行につき制限が設けられているのは、破産者が逃亡したり、財産を隠匿したりすることを防ぐことが目的です。

また、破産者が勝手に引っ越したりして居場所が分からなくなってしまうと、裁判所や破産管財人が調査をする際に連絡がつかず困ってしまいます。
そのため、引っ越しや長期旅行をする際には、事前に裁判所の許可を得る必要があるとされているのです。

このように、破産手続中は居住場所の制限を受けることになりますが、自由に引っ越しや長期旅行ができないということで、引っ越しや長期旅行自体が禁止されているわけではありませんし、破産手続が終了すれば制限は解除されます。

また、居住場所の制限がされるのは、自己破産の手続でも、管財事件になった場合のみです。同時廃止の場合には、居住場所の制限はありませんから、自由に引っ越しや長期旅行が可能です。

ただし、同時廃止の場合も、免責許可決定が確定する前に引っ越しをした場合には、裁判所に新住所を報告する必要はあります。

(3) 通信の秘密の制限

破産法81条1項は、「裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第3項に規定する信書便物(次条及び第118条第5項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。」と定めています。

簡単に言ってしまうと、自己破産を申し立てて、管財事件となり破産管財人が就くと、破産者宛の郵便物は全て破産管財人に転送されるということです。

破産管財人は、転送されてきた郵便物を開封して中身を確認し、債権者の漏れや申告していない資産がないかなどをチェックしますので、この点において破産者の通信の秘密が制限されることになります。

なお、破産管財人に転送されるのは、原則として郵便局を通す「郵便物(ゆうパックなども含まれることがあります。)」だけで、民間業者の宅配便やメール便は転送の対象にはなっていません。

また、転送された郵便物は、後で破産管財人から返してもらえます。転送は、遅くとも破産手続終了時には解除されますが(破産法81条3項)、債権者集会の時点で解除されることも多いです。

2.自己破産手続中にしてはいけないこと

自己破産手続中に破産者が受ける制限は上で説明したとおりですが、他に自己破産手続中に禁止される行為として以下のような行為があります。

(1) 借入れ

自己破産手続中に、新たな借り入れをすることは禁止されます。また、自己破産直前の借入れも問題になります。

もはや支払不能の状態になっているのにそれを隠して借入れをすると、免責不許可事由となり免責が許可されなかったり、最悪の場合は詐欺破産罪として刑事責任を問われたりする可能性もありますから、自己破産手続中はもとより、自己破産直前の借入れもしてはいけません。

なお、クレジットカードのショッピング枠の現金化も、借入れ同様債務を増やす行為ですので禁止されています。

(2) 偏頗弁済

自己破産手続中は、新たな借り入れだけでなく、返済もしてはいけません。

自己破産をする人の中には、自己破産をすると迷惑をかけるからとして、親戚や友人などからの借金だけは返してしまおうと考えてしまう人もいます。
ですが、このように一部の債権者だけに返済をする行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、問題となります。

自己破産手続においては債権者を平等に扱う原則があり、それに反することになるからです。

偏頗弁済は、免責不許可事由にあたりますから、免責を受けられなくなる可能性があります。それだけでなく、偏頗弁済は、破産管財人の否認権行使の対象となり、否認権が行使されれば、偏頗弁済を受けた債権者は、結局返済を受けた分を破産管財人に返さなければならなくなってしまいます。

ですから、返済した債権者にかえって迷惑をかけることになりかねません。

なお、自己破産手続中だけでなく、自己破産前の偏頗弁済も問題となりえます。

(3) 浪費・ギャンブル等

借金の原因が浪費やギャンブルにある場合は免責不許可事由にあたることは、ご存知の方も多いと思います。

ですから、当然、自己破産手続中に浪費やギャンブルなどをすることは許されません。

(4) 財産隠し

自己破産をすると、破産者は基本的に全ての財産を失うことになります。

そのため、中には、少しでも手元に財産を残そうとして、裁判所に申告すべき財産を申告しなかったり、少なく申告したり、他人名義に変えてしまったりと、いわゆる財産隠をする人も出てきます。

ですが、そのような財産隠しをすると、免責不許可になる可能性が高くなるだけでなく、最悪の場合、詐欺破産罪として刑事責任を問われかねませんから、絶対にやってはいけません。

3.自己破産は弁護士に相談を

今回は、自己破産手続中の制限や禁止事項について解説しました。

自己破産をはじめとする債務整理の手続においては、守らなければならないことや注意事項がいろいろあり、心配に思われることもあるかもしれませんが、弁護士にご依頼いただいた場合には、そのあたりも丁寧にご説明いたします。

借金問題でお悩みがありましたら、まずは一度弁護士にご相談ください。

当事務所では債務整理の法律相談は無料でお受けしておりますので、お困りのことがありましたらお気軽にご相談いただければと思います。

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