交通事故

事故直後の意識障害|高次脳機能障害の後遺障害等級認定で有利に?

事故直後に意識障害があると、高次脳機能障害の後遺障害等級認定を受けるうえで有利になる可能性があります。
意識障害は、脳損傷が生じていたことを証明する事情になりうるからです。

診断書に意識障害が記載されていると、他の事情次第では後遺障害等級認定のための審査を受けられる可能性が生じるなど、手続上も意味があるのです。

ここでは、意識障害が高次脳機能障害の後遺障害等級認定で果たす役割について説明します。

1.意識障害が認定で果たす役割

事故直後の意識障害があると、後遺障害等級認定を受けるための条件のひとつ「因果関係」を証明しやすくなります。

高次脳機能障害が後遺障害等級認定を受けるためには、交通事故が原因で脳が物理的に損傷した、つまり「器質的損傷」があったことが必要です。

事故で頭が強く揺さぶられると、直接頭を打ち付けていないケースであっても、脳の細胞と細胞をつないでいる神経線維が切れてしまうことがあるのです。そうなると、脳細胞の間で信号がつながらなくなり、意識を失ってしまいます。

さらに、神経線維を伸ばしている元の脳細胞が死んでしまい、認知力や行動力、社会的な人格の成熟に問題が生じる「高次脳機能障害」が後遺症として残ってしまうことがあります。

このようなタイプの脳損傷は、「びまん性軸索(じくさく)損傷」と呼ばれています。

びまん性軸索損傷では、意識障害による因果関係の証明がとても大切になります。
なぜなら、びまん性軸索損傷のケースではMRIによる画像検査で異常が見つかりにくいからです。

画像検査は脳の損傷を直接目に見える形で明らかにしますから、証拠として大きな価値を持ちます。

ところが、神経線維は画像に写りません。そのため、少なくとも事故直後には画像検査でびまん性軸索損傷を発見することはかなり困難なのです。

そこで、意識障害がびまん性軸索損傷を証明するうえで大きな役割を果たします。

事故内容からして頭が強く揺さぶられるなど衝撃を受けていると言えるときに意識障害が生じていれば、びまん性軸索損傷の仕組みからすると、脳神経の損傷が疑えるからです。

なお、事故から時間が経過すると、脳委縮・脳室拡大などの脳異常が画像検査で判明することがあります。

脳が頭蓋骨にぶつかり傷付く「脳挫傷」のケースでは、事故直後に検査をすることが異常を写し出すために大切です。

いずれにせよ、意識障害があるからといって、画像検査をおろそかにしないようにご注意ください。

2.意識障害が手続で果たす役割

高次脳機能障害では、一定の条件を満たしていなければ「高次脳機能障害」として審査を受けられないという特殊な認定手続になっています。

原因や症状があいまいで分かりにくいため、審査機関の中でも専門の部署が高次脳機能障害について集中して判断しているためです。

意識障害は、この審査を受けるための条件の一つにも関わっています。

  • 初診時に頭をケガしていると診断されている
  • 「重度6時間以上または軽度1週間以上」の意識障害があると、初診の病院が作成した「経過診断書(医師が定期的に作成して保険会社に送付している診断書)」に記載がある

以上のようなケースでは、認定機関が事前に症状の有無や内容、程度を調査したうえで、審査を受けることが認められる可能性があります。

なお、他の審査を受けるための条件としては、以下のようなものもあります。

  • 後遺障害診断書に高次脳機能障害に関する診断があること
  • 初診時に頭をけがしていると診断されていて、かつ、経過診断書に高次脳機能障害に関する診断または症状または脳画像検査の異常のいずれかの記載があること

3.必要とされる意識障害の程度

さて、上記のように意識障害が交通事故により脳損傷が引き起こされたことを示すものだと言うためには、一定以上、症状が重くなければいけません。

具体的には、先ほど審査を受けるための条件の中で触れた「重度の意識障害が6時間以上あるいは健忘・軽度の意識障害が1週間以上」が目安となっています。
重度の意識障害は、「半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態」を言います。

なお、軽度の意識障害と並んで、「健忘」が1週間続いていた場合も脳損傷が疑われます。
健忘とは過去のことを思い出せなくなることです。

意識障害の測定方法としては、覚醒の程度に応じて意識障害の状態を3段階に大きく分けたうえで、さらに細かく分類する「JCS(ジャパン・コーマ・スケール)」と、①開眼、②言語反応、③運動反応の3項目に点数を付ける「GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)」があります。

JCSでいえば「意識が今一つはっきりしない」、GCSで言えば「会話の内容が混乱している」だけでも軽度意識障害と認められます

詳しくは、医師や弁護士に確認をしてみましょう。

【意識障害の注意点】
なお、意識障害があったとしても、医師が作成する記録に残っていなければ証拠になりません。事故以前の被害者様の様子を知らない医師からすると、軽度の意識障害も「もともととぼけていた人なのだろう」と見逃してしまうおそれがあります。
高次脳機能障害の症状もそうですが、障害というものは事故前の被害者様の能力を基準に考えるものです。事故前は記憶力が自慢だったのに、事故直後に人並み程度になってしまったというのであればそれは意識障害と評価できる可能性があります。しかし、医師は事故前の被害者様のことをよく知りませんから、そのような評価をすることは難しいでしょう。
被害者様のことをよく知る周囲の方が、医師に対して具体的に事故前の被害者様と比較して何がおかしいのか説明してください。
具体的には、事故直後の1週間に明らかに様子がおかしかったのであれば、医師に具体的なエピソードを伝え、診断書などに残してもらうようお願いしましょう。

4.高次脳機能障害の後遺障害認定も弁護士へお任せ

高次脳機能障害の後遺障害等級認定はとても難しいものです。
症状があいまいなため認定される等級を予測しづらいというだけでなく、事故が原因であると証明するための事情も見つかりづらいのです。

事故後の意識障害は、医師がしっかりと被害者様の様子を確認して記録や診断書に書き残していれば、事故による脳損傷が生じたと証明するうえで信頼できる事情になります。

もっとも、意識障害さえあれば認定は問題ない、というわけではもちろんありません。

画像検査で異常が明らかにされれば、意識障害と相まってより強く事故が原因であると主張できるようになります。

ところが、医師は精密画像検査には手間が掛かるとして嫌がることがあり、どう説得するべきかを検討すべきケースがあります。

症状を証明するためには、被害者様の周囲の方々、ご親族や同僚、子どもであれば担任の教師による事細かな報告書が必要です。
被害者様ご自身の様子について深く知っている皆さんが、被害者様の症状を理解できるからです。

しかし、専門的な知識を持たない方が症状を報告書にまとめ上げるには、法律の専門家である弁護士のアドバイスやサポートが大切でしょう。

是非、お気軽に弁護士にご相談ください。
保険会社との示談交渉で相場を増額するうえでも、弁護士への相談や依頼はメリットがあります。

皆様のご来訪をお待ちしております。

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