刑事事件

子どもが逮捕…今後のために親にできることはある?(少年事件)

子どもが逮捕…今後のために親にできることはある?(少年事件)

大事に育てたお子さんが逮捕されたと聞いたら、ご両親はショックでどうしたら良いのかわからなくなってしまうと思います。

刑事事件にあたるような罪を犯してしまった場合、親として子どもを反省させることはもちろんですが、できるだけ将来に影響がでないよう、できる限りのことをしてあげたいと思うでしょう。

日本の法律では、成人していない子どもが犯した罪については、少年事件として扱われます。もっとも、凶悪犯など重い罪を犯してしまった場合には、通常の刑事事件と同じような手順を踏むこともあります。

今回は、少年事件の基本から、逮捕後の流れ、逮捕前・逮捕後に親ができること等を解説します。

1.少年事件と大人の刑事事件の違い

まずは、少年事件の基本と、通常の刑事事件との違いを説明します。

(1) 目的

そもそも、なぜ通常の刑事事件と少年事件を分けているのでしょうか?

その理由は、目的の違です。

少年事件は、少年の更生を計ることが主な目的です。
通常の刑事事件に関しても、犯人を更生し再び社会へ送り出す目的はありますが、成人の事件という点では罰則を与える意味合いも強くあります。

少年事件の場合、年齢が低いことから、将来への影響を考え更生目的を主眼としているのです。少年法では14歳以上の少年でない限り刑事罰を与えることはできません。

(2) 少年事件の種別

少年事件には、3つの種別があります。それは、犯罪少年、触法少年、虞犯少年(ぐはん)という分類です。

犯罪少年:刑法に触れる行為をした14歳以上の少年
触法少年:刑法に触れる行為をした14歳未満の少年
虞犯少年:非行行動から将来的に刑法に触れるような罪をおかしそうな14歳未満の少年

犯罪少年は、凶悪事件等の場合は刑事処罰を受ける可能性があり、少年刑務所に服役する可能性もあります。しかし、触法少年や虞犯少年は14歳未満のため、刑事罰を与えられることはありません。

平成28年の刑法犯少年、触法少年の検挙件数をみてみると、総数が3万1516人、殺人等の凶悪犯は538人、暴行障害などの粗暴犯が4197人、窃盗犯は18298人となっています。

(3) 手順・裁判・処分

少年事件は先に説明した通り、基本的には少年の更生が目的です。
そのため、原則として地方裁判所ではなく家庭裁判所で処分を決めるという点にも大きな違いがあります。

通常の刑事事件では、警察から検察に送られ裁判にかけられる、という手順を踏みますが、少年事件では検察に送られることなく、家庭裁判所で処分を待つことがほとんどです。

また、刑事事件のように公開の裁判を受けることもありません。少年の将来への影響に鑑み、審判は非公開となっています。よほどの凶悪事件でない限り公開裁判になることはないでしょう。

そして、不起訴処分がない点も違いといえます。全件送致主義といって、すべての少年事件が家庭裁判所にて処分をうけることになっています。

これは、少年の更生を前提とするという目的から、今後の対処を必ず家庭裁判所で決めるという目的があります。

もっとも、非行行動等がなく犯罪の嫌疑がない場合には、家庭裁判所に送致されない場合もあります。

さらに、通常の刑事事件では起訴が決まれば保釈が認められることがありますが、少年事件にはこれがありません。

少年事件で逮捕等が行われた場合には、観護措置といって、少年鑑別所に収容されることがあります。これに関しては、弁護活動により観護措置をしないように求めることもできます。

2.少年事件の流れ

次に、少年事件の流についてご説明します。14歳未満の場合と14歳以上の場合に分けて見ていきましょう。

(1) 14歳未満の場合

14歳未満の場合、検察に送られることはなく、警察や自動相談所から家庭裁判所に送られ処分が決定するのを待つことになります。

具体的には以下のような流れです。

学校や近隣からの通報→児童相談所or 警察→家庭裁判所→処分決定

14歳未満の触法少年や虞犯少年は、学校や近隣の人から児童相談所に連絡をするのが一般的です。万引きなどの場合は、お店から警察に通報されることもあります。

基本的には、児童相談所や警察にて親を呼び出し、注意等を行い終了します。しかし、傷害事件、強盗事件など重大事件を起こしてしまった場合には、家庭裁判所に送致が行われます。

家庭裁判所では、事件の態様や少年の事情などを調査し、最終的な処分を決定します。「不処分」や「審判不開始」の場合は家に帰ることができます。

不処分とは、更生が十分に期待できる場合に保護観察にしないという判断です。審判不開始は、審判をせず調査のみを行うという判断となります。

これらの処分の場合は、家庭裁判所にて裁判官等から訓戒や指導などの教育的働きかけが行われ、これらの事情をすべて総合した上で最終的な決定が下されます。

保護観察の場合も家に帰ることができますが、更生プログラムを受けたり、定期的な指導を受けたりする必要があります。

少年鑑別所や少年院への処分が決定した場合には、家に帰ることはできません。少年鑑別所では、少年事件の原因や事情を詳しく調べることになります。さまざまな見地から調査を行い、最大4週間収容されます。 

家庭裁判所にて社会への更生が難しいと判断された場合には、少年院へ送られることもあります。少年院では、刑事罰を与えられることはありません。そのため前科はつきませんが、短くとも4ヶ月、長ければ2年以上更生のために収容される可能性があります。

処分内容:保護観察所、少年鑑別所、少年院or不処分、審判不開始

(2) 14歳以上の場合

14歳以上の場合(犯罪少年)は、一般的な軽微事件と殺人等の凶悪事件で扱いが異なります。それぞれみていきましょう。

①一般的な犯罪少年事件の流れ

警察→(検察庁→)家庭裁判所→処分決定

14歳未満の場合とは異なり、14歳上になると警察によって逮捕される可能性が高くなります。

起こした刑事事件の内容によって、警察庁に送られるか家庭裁判所に送致されるのかが変わります。

禁固刑上の罪を犯した場合、検察庁へ送られ捜査を受けますが、罰金以下の場合は直接、家庭裁判所に送致されます。

 14歳上の場合でも、一般的な事件ではすべて家庭裁判所で処分が決定します。事件の内容、少年の状況、成熟度等にかんがみ、保護観察、少年鑑別所、少年院の処分が妥当かを決定します。

どの処分も必要がなく、更生が期待できる場合は不処分、審判不開始というケースもあるでしょう。

処分内容:保護観察、少年院、少年鑑別所 or不処分、審判不開始

②罪の重い犯罪の場合(死亡事件かつ16歳以上の場合)

逮捕→警察による捜査→検察→勾留決定→地方裁判所→判決

16歳上の少年が被害者を死亡させてしまった場合には、警察による捜査の末逮捕が行われます。逮捕後は一般的な刑事事件と同様の扱いです。

48時間は警察での捜査が行われ、その後検察に送致されます。その後24時間以内に、勾留請求を行うかどうかが決定され、勾留請求が行われる場合には、最大20日程度勾留されることになります。

その後、起訴するかどうかを決定し、起訴の場合は地方裁判所で裁判が行われ、判決が下されます。

判決の結果としては、無罪でなければ成人と同様に扱われ禁固や懲役刑などの処分を受ける可能性もあります。懲役、禁固、拘留の判決の場合は少年刑務所へ送られることになります。

少年院は、通常の刑務所より年齢の若さにかんがみ、更生に重点をおいた教育が行われます。

執行猶予がついた場合には、保護観察が付されます。

処分内容:保護観察付執行猶予、少年刑務所 or 無罪

3.親ができること

次に、息子さんや娘さんが少年犯罪を行ってしまった場合に、親ができることを説明します。逮捕前と逮捕後に分けて見ていきましょう。

(1) 逮捕前|弁護士に相談、警察へ出頭する

一度の万引きや軽いケンカなどの場合は、逮捕される可能性も低いでしょう。

しかし、今後のことを考えるなら、親が付き添い警察へ出頭することも大切です。事情を話し、十分反省を示せばそのまま家に帰してもらえる可能性も高いでしょう。

重大事件を起こしてしまった場合は、弁護士に事情を説明し付き添いのもと、警察署へ行くことをおすすめします。

弁護士としては、逮捕が行われないよう、「逃走や証拠隠滅の可能性がない」ということを警察に話し、逮捕しないよう働きかけを行います。仮に逮捕された場合も、その後の勾留請求を行わないよう弁護活動を続け、できる限り早く家に帰れるよう尽力します。

親御さんとしてできることは少ないかもしれませんが、お子さんを説得し充分な反省を促すこと、そして必要な場合は弁護士、警察に早めに知らせることが大切です。

(2) 逮捕後|できるだけ早く弁護士に依頼する

殺人や強盗など凶悪事件の場合、家にいきなり警察がきて逮捕されることもありえます。親御さんとしては、警察の指示に従い冷静に対処していくことが大切です。

逮捕後は、できるだけ早く弁護士に依頼しましょう。

逮捕後48時間は捜査が行われ、この間、親が接見することはできません。しかし、弁護士であれば接見し、捜査にどのように協力すべきかなどアドバイスをすることができます。

親御さんのお話も伝えることができますので、できる限り早い段階で依頼していただくことが肝心です。

逮捕後は、できる限り早く家に帰れるよう勾留請求をしないよう弁護活動を開始します。実際に、お子さんと話をした上で事情を聞き、検察官とも話し勾留請求が必要ないことを説得します。

勾留が行われると、先に説明した通り最大20日間留置場か少年鑑別所に身柄が留置されます。この間学校等も行けなくなってしまいますので、生活への支障を最小限に留めるには、勾留とならないよう働きかけることが大切です。

仮に勾留が行われてしまった場合でも、異議申し立てを行うこともできます。

家庭裁判所や地方裁判所での裁判でも、不処分等を求め、保護措置なしで更生が期待できることを示していきます。

4.お子さんが逮捕されたらすぐに弁護士に相談を

お子さんが大きな事件を起こしてしまった、あるいは逮捕されてしまったら、できるだけ早い段階で弁護士にご相談下さい。

逮捕されてしまった場合、逮捕後48時間は親が接見することすらできません。この間に弁護士が接見し、できるだけ早く安心させてあげることが必要です。

少年事件の場合は、将来に影響が残らないようにするためにもできるだけ家に帰れる処分を求める必要があります。不処分、審判不開始、保護観察なら影響を最小限に抑えることができ、これまで通り学校にも通わせることもできます。

泉総合法律事務所では、刑事事件、少年事件に精通した弁護士が精一杯対応いたします。どうぞお早めに、初回無料相談をご利用ください。

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