不倫慰謝料

不倫慰謝料の示談交渉が失敗した場合、不倫裁判はどう行われるか?

不倫慰謝料の示談交渉が失敗した場合、不倫裁判はどう行われるか?

配偶者が不倫をしていることを知った場合、多くの方が不倫相手に不倫慰謝料の支払を請求することを選びます。

心から信頼していたパートナーの不倫を知ってしまうと、大きな精神的ダメージを負いますので、気持ちのけじめとしても不倫相手にはその精神的ダメージを金銭的に填補してほしいところでしょう。

さて、不倫相手に対して不倫慰謝料を請求する場合、直接やり取り・交渉をして請求する場合と、裁判上の請求、つまり不倫慰謝料支払い請求をする訴訟を提起する場合があります。

手順としてはまず直接交渉をし、話し合いがうまくまとまる見込みがなければ訴訟に移行ということになりますが、不倫慰謝料請求の裁判とは一体どういうものなのでしょうか。

この記事では、不倫慰謝料請求の裁判のタイミング、流れ、判決で決まる内容、その効力についてご説明します。

1.不倫慰謝料裁判のタイミング

(1) まずは直接交渉

訴訟による解決は、体力も弁護士費用などのお金もかかりますし、法廷でプライベートを赤裸々に第三者に開示することにもためらいを感じられる方がほとんどでしょう。

そのため、不倫慰謝料請求は、通常被害者である配偶者と不倫相手との直接のやり取りで開始し、そこで決着がつかなかったり不倫相手が任意に交渉のテーブルにつかなかったりする場合に、訴訟が提起されます。

直接交渉といっても、不倫問題の場合は間に弁護士が入ることが望ましいです。男女の問題は理屈では割り切れない一面もあり、加害者被害者ともに感情的になってしまいがちな問題ですので、第三者である弁護士に依頼して示談交渉を任せる事が望ましいのです。

直接交渉は、被害者が弁護士に依頼している場合、内容証明が不倫相手に送られてくることからはじまります。

(2) 不倫慰謝料請求の内容証明郵便

内容証明郵便は「あなたが私の夫(妻)である●●と不貞行為をしていることを知っています。不法行為にあたりますので、慰謝料として金●●●円を請求します。内容証明受領後10日以内に連絡先(弁護士事務所名)へご連絡ください」というような内容で、任意で慰謝料振込みを求める趣旨が記載されます。

内容証明郵便は、確かにこの日付でこの内容を送ったということを郵便局が証明してくれますので、請求をした事実を記録に残すことができ、言った言わないを避けることができます。

また、不倫慰謝料請求権にも時効がありますので、内容証明を送りそのあと訴訟を提起することで、消滅時効の進行をストップさせるという効力もあります。

(3) 内容証明郵便を受け取った不倫相手の対応

内容証明郵便自体は法律上の義務を不倫相手に発生させるものではないので、必ずしも内容証明に記載された期日内に連絡をしなかったとしても、不倫相手に罰則等はもちろんありません。

しかしながら、多くの人は弁護士名での内容証明郵便を受取ったら、ことの重大さはある程度予測できるので、期間内になんらかの連絡をするでしょう。

また、内容証明を送ったという事実、内容、時期、不倫相手の反応などは、その後直接交渉から裁判に変わったときにも重要な証拠として扱われることになります。

(4) 直接交渉が裁判に切り替わるタイミング

内容証明郵便を受け取り、被害者と不倫相手が数度交渉をしても、慰謝料の支払い条件になかなか合意できない場合があります。

例えば、不倫慰謝料にはいわゆる相場がありますが、この相場からかけ離れた金額をどちらかが希望していたり、不倫相手に経済的余力がなく払いたくても払えなかったりする状況もありえます。

また、不倫相手が交渉のテーブルにのってこず、内容証明を無視するということも有り得るでしょう。

こういう状況下で、被害者がこれ以上直接話し合いをしても解決が見込めないと判断した場合、被害者が不倫相手に対して、不倫慰謝料請求のための訴訟を提起するということになります。

訴訟の提起は内容証明を送ってから○日以内という期日があるわけではなく、あくまで直接の交渉の進捗度によっての判断となるでしょう。 

2.不倫裁判の流れ

(1) 訴状の提出

まず、原告(不倫をされてしまった被害者である側の配偶者)が、管轄の裁判所に訴状を提出し、訴訟を提起します。

本人訴訟といって、本人が裁判手続きをすることも可能ですが、専門的な知識が必要ですので、弁護士を代理人としてたてるのが一般的です。

訴状には、不倫相手に請求する慰謝料の金額と不倫慰謝料を請求する理由となる不貞行為の詳細を記載します。示談交渉で不倫相手が不貞行為があったことをそもそも否定している場合は、不貞行為の証拠も一緒に提出します。

最近の裁判例では、必ずしも肉体関係の立証まで出来ていなくても不倫の成立を認めているものもありますが、原則としては、肉体行為があったことの証拠が必要です。多くの場合、示談交渉に望む前にこれらの証拠を揃えているはずだと思いますので、これを裁判所にも示すという形になります。

(2) 訴訟提起後の流れ

提出された訴状の写しは、被告となる不倫相手にも送達され、裁判が開始されます。原告と同様、本人訴訟として被告自らが手続きを行う場合もありますが、多くの人は裁判手続きとなると弁護士に依頼すると思われます。

不倫相手は訴状に記載されたことについて、書面で反論をしていく形になります。

例えば、不貞行為の成立を否定したい場合には、「不倫相手である既婚者(法的には有責配偶者)が、結婚していないと巧みに嘘をついていた」などという反論をしたりします。また、被害者と有責配偶者がすでに婚姻破綻していたという主張や、有責配偶者が職場の上司でパワーがあり、肉体関係を強制されたという反論がなされる場合があります。

これに対して、原告が再度書面で反論をしていき、その間に裁判官が、どちらの主張がより客観的に合理的なのかを、さまざまな証拠や双方の主張などから心証形成をしていくことになります。

事案によっては、当事者尋問といって、当事者である原告と被告の両方が裁判所に呼び出されることもあります。

(3) 和解勧告または判決

不倫慰謝料の裁判の多くでは、判決が出る前に、裁判所から原告と被告に和解勧告が出されます。和解勧告に双方納得がいけば、裁判上の和解により終了となります。

和解勧告に従う義務はないので、納得がいかなければそのまま判決による解決もできます。

3.不倫慰謝料の裁判で決まること

裁判所は、原告が被告に対して不倫についての不法行為責任を負うか否かの判断と、負うとなった場合、慰謝料はいくらなのかという判断をします。

民法709条は「故意または過失により他人の生命・身体・財産に損害を与えた者はこれを賠償する責任を負う」としており、民法710条は「その損害は金銭的損害に限られない」としています。

日本の家族法では、結婚した男女は互いに配偶者以外と肉体関係をもたないという貞操義務を負うことになります。これに違反すると相手には不法行為責任を負うことになり、また不倫相手も共同不法行為者として責任を負うことになります。

裁判では、この法律上の不法行為が行われていたかどうかを、裁判官が様々な証拠や主張からできるだけ公正に(第三者の視点で)判断するのです。

また、不倫慰謝料についても、過去の裁判例で状況ごとに認められてきた基準額があり、この基準に比べて本件ではどのくらいが妥当なのかという視点から、裁判官が判断します。

4.不倫慰謝料の判決の効力

訴訟の判決は、控訴期間中に控訴しない限り確定します。そのため、判決が確定した後に、敗訴した側が裁判手続きをやり直してくれといっても、新たな証拠がよほど出揃った場合などを除き認められません。

したがって、裁判上ですべての主張立証を尽くす必要があるのです。

また、判決には強制執行力がありますので、仮に被告に慰謝料支払判決が出た場合で、被告が判決に背いて支払を拒んだ場合、給与債権や不動産などに差し押さえなどがかけられて、強制的に回収される可能性が出てきます。

なお、裁判上の和解についても、上記の確定判決と同じ効力をもちます。

5.不倫慰謝料の裁判も泉総合法律事務所へ

いかがでしたでしょうか。不倫慰謝料請求裁判の流れや効力について、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。

不倫慰謝料の示談交渉にしても裁判上の解決にしても、不倫問題の解決には法律や実務上の知識が不可欠です。不倫慰謝料問題に詳しい弁護士に依頼しアドバイスを受けることが、納得のいく解決を得る上でおすすめです。

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